最新レーシック手術の種類
メガネやコンタクトレンズなしで近視を矯正し、視力回復を実現するレーザー手術(レーシック)を受ける人が日本でも増えています。1990年頃に開発されたレーシックは、その後レーザー装置の高性能化や新装置の登場で新たな手術法も開発されています。(参照:視力回復レーザー手術の歴史)
ここでは、現在医療機関で受けられる最新の視力矯正レーザー手術法を紹介します。
レーシック(LASIK)手術の大切な要素に次のステップがあります。
(角膜表面を薄く削りフラップを作成する)
↓
(フラップの下の角膜を適度な厚さに切削する)
レーシック手術は上記の要素技術が改良され、新たな名称がつけられています。
レーシック手術の概要
レーシックは、それまでの近視・乱視レーザー治療法であったPRKと角膜表面にフラップを作成し治療後の痛みを少なくしたALKを融合した治療法です。
(参照:レーシックとは~LASIK~)
下記レーシック手術手順に示すように、ALKで用いられたマイクロケラトームで角膜表面にフラップを作成し、PRKで採用されたエキシマレーザーを照射します。
レーシック 手術手順
- 点眼麻酔
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洗浄消毒した後、局所麻酔薬を点眼します。
点眼は目薬をさすのと同じため、痛みはありません。
- マイクロケラトーム(フラップ作成)
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マイクロケラトームという角膜を薄く削る機械で、
角膜表面に薄いフラップを作成します。
- フラップをめくる
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マイクロケラトームで角膜表面を削るとき、
フラップが角膜から取れないように一部を残します。
残した部分をヒンジのようにしてフラップをめくります。
- レーザー照射
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角膜表面を削った角膜内部(角膜実質層)に
エキシマレーザーを照射します。
レーザー照射後フラップを戻します。
- 術後処理
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フラップが安定するまでしばらく角膜を乾燥させ、
抗生物質を点眼します。
レーシックはマイクロケラトームを使ってフラップを作成するため、フラップの厚さが160μmとやや厚くなります。このため角膜が薄い人や強度の近視の人には、レーシック手術は向かないとされています。
レーゼック手術の概要
レーゼック(LASEK)またはラセックと呼ばれる近視・乱視矯正レーザー手術は、レーシックよりもフラップがかなり薄く、角膜が薄い人にも適応可能な手術です。レーゼックはレーシックと比較すると視力が回復するのに少し時間がかかり、1~2週間程度必要です。また、手術後数日間は目に異物感や痛みがあります。
レーゼック 手術手順
- 点眼麻酔
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洗浄消毒した後、局所麻酔薬を点眼します。
点眼は目薬をさすのと同じため、痛みはありません。
- トレパンで角膜に切り込み
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トレパンを使って角膜に切り込みを入れ、
アルコールを浸して角膜表面を柔らかくします。
- フラップをめくる
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柔らかくなった角膜表面(角膜上皮層)を持ち上げ、
薄いフラップを作ります。
- レーザー照射
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フラップの下の角膜内部(角膜実質層)に
エキシマレーザーを照射します。
- フラップを戻す
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フラップを元に戻し表面を整えます。
- 術後処理
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角膜表面を保護するため、
治療用コンタクトレンズを装着します。
ラセック(レーゼック)は角膜上皮だけの薄いフラップを使った視力矯正手術のため、手術後数週間もすると角膜上皮が再生し、フラップがずれることはありません。そのため、スポーツ選手など体に強い衝撃が加わる人にも安心して受けられる視力矯正レーザー手術です。
(参照:ラセック - Wikipedia)
イントラレーシック
2001年に登場したイントラ社のイントラレーザー(FS Laser)は、レーシック手術に新たな革命を起こしました。レーシック手術では角膜表面にフラップを作りますが、これまではマイクロケラトームという精密機器によって作成していました。このフラップ作成をレーザー光線によって行うのがイントラレーザー(FS Laser)です。
従来のレーシック手術ではマイクロケラトームが金属ブレードを往復させてフラップを削るため、切断面に微少な筋が残ってしまいます。それに対し、イントラレーザーはレーザー光線を使用するため切断面は滑らかで均一に仕上がります(下記写真参照)。

イントラレーザー(左)とマイクロケラトーム(右)によるフラップ写真比較
イントラレーシックはフラップ作成にレーザーを用いることで、フラップの厚さを患者にあわせて100μm~200μmに調整出来ます。ラセック(レーゼック)ほど薄くすることは出来ませんが、角膜がやや薄い人や中強度の近眼の方もイントラレーシックなら手術で近視治療が可能となりました。
イントラレーシックで作成するフラップのエッジはきれいな直角になります。マイクロケラトームのエッジは鋭角になるため、フラップの位置がずれやすくなります。イントラレーシックのフラップはエッジが直角なので、ずれにくく角膜の再生トラブルも少なくなります。

イントラレーザー(左)とマイクロケラトーム(右)によるフラップエッジの違い
イントラレーシックのメリット
- レーシック手術の成功率向上
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レーシック手術のトラブルの多くはフラップ作成に起因します。
イントラレーシックではコンピュータ制御で正確で滑らかなフラップが作成出来るので、フラップ作成に起因するトラブルが減ります。 - 中強度近視でもレーシック手術が可能となる
- イントラレーシックでは、フラップの厚さを100μm~200μmに調整できます。角膜を大きく削る必要がある中強度の近視でも比較的安全に視力回復レーザー手術が出来ます。
- レーシック手術の質の向上
- イントラレーシックのフラップは濁りが少なく滑らかなため、治療後の視界はクリアで顧客満足度の高い手術となります。
イントラレーシックのデメリット
- 手術時間が長くなる
- フラップ作成にマイクロケラトームよりも時間がかかる(かかると言っても1分程度)、 さらにフラップがめくりにくい、戻しにくいという問題も指摘されます。
- 角膜層間炎症(DLK)はレーシックと同様
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フラップをレーザーで作成しても、切削面の炎症は起こる可能性がある。
DLKはレーシックと同程度発生すると言われています。 - 費用が高くなる
- 一般的にマイクロケラトームを使用するレーシック手術よりも イントラレーシックの方が手術費用は高くなります。